トラペアンプラサート村のトラペアンプラサート
今回はいつも参考にしているAymonierの"Le cambodge "にもまったく記載がない地域の寺院であるので位置情報なども述べる。
トラペアンプラサート村自体はアンロン・ヴェンから30km弱東にある集落で、プリアヴェヘアとアンロンヴェンとを結ぶ未舗装のラテライトの幹線沿いにある。
大体の経緯度は東経１０４°２１’北緯１４°１２’位であり、オッドー･ミエンチェイ州トラペアンプラサート郡の中心ということになるが、小さな村である。名の由来となった大きなため池が地図やGoogle Earthでも確認できる。このため池は東西900mから1km南北は200m弱とそこそこ大きく今はその中央を道路が通っている。
この池の東側に静かに遺跡は建っていた。写真１、４である。池を東から北に回りこんで、西側のふみ跡からアプローチしたところである。
ご覧のとおりレンガの塔が３基残っている。遺跡の周囲も幅40mくらいの環濠があった。このレンガ塔はラテライトの石垣で囲まれており、特にその南側にはレンガの門があったようだ。また西門は石のフレームが残っていた。北側には門はなかったか消滅したようでラテライトの石垣が続くのみである。肝腎の東側は門があったのだろうが、崩壊している。東側はちょっとした林になってて公園のようである。なんとなく、ロルオスのプレイモンティを想起させる。写真2をご参照あれ。
寺院自体は、２m弱の高さのあるラテライトを基盤とした３基のレンガ塔が南北に並び、その前に、南側に１基のレンガの正方形の祠堂があったようである。前述した南側のレンガの門の遺跡とつながっていたのかもしれないが分からない。
ここも盗掘などで時代を同定する手がかりとなる碑文なども私の調べた限りだが、分からなかった。色々な石の彫刻の残欠や祠堂の入り口や偽扉の様子から、やはりアンコール期の10世紀位と考えられるが、詳細は分からない。リンテルの残欠の写真３を挙げるがバイヨンのようにも見えて悩ましい。素人判断はここでは置いておこう。
他にも写真上げたかったが、ナガを吐き出すマカラや、小さなオウムの彫刻がみられた破風や上部シヴァの丸い部分が破損したリンガなどが転がっており、中央の祠堂のエントランスには石柱も残っている。
倒れた石材の上に、後世の涅槃佛の線刻や現代語での落書きなども見られた。まあこれらはよいであろうが、それでもそれなりに信仰されていたので、盗掘があったにせよ、そこそこの状態で保存されていたのはなによりである。
そういう感じで遺跡を眺めていたらいつものごとく地元のおじいさんと子供（一人、人口少ない）がやってきて、ガイドさんに何やら言って北側の森を指差している。もちろん遺跡情報である。
レンガの遺跡環濠の北側の小道、ここを通って来たのだが、これをはさんでさらに北側の森というか藪の中にまだ遺跡があると言う。レンガ塔の大体２００ｍくらい北側になろうか。
子供の案内で入って行くが藪の中、ラテライトの塔が東西に２基建っていた。西側のほうはそこそこ残っているが、なにせ藪の中である。トゲのあるやぶやつる草類を押しのけてはいっていったが、その間にも蚊に刺されまくり、身体的と言うより精神的ダメージが大きい。デング熱とマラリアの死のロンドが頭の中でめぐり続ける。って同伴しているじいちゃんは上半身裸で余裕の表情であるがｗ。写真５だが何がなんだかと言う感じである。
無理やり近づいたが黒く変色したラテライトの塔には当然彫刻もなく、また足元を探そうにも藪の中で彫刻なども見当たらなかった。
こちらの寺院はそんな感じで私の手に余る。がラテライト寺院はコーケーのネアンクマウ寺院を髣髴とさせた。私見だが、この遺跡の一群はやはり10世紀ごろのものではなかろうかと考えている。
また、レンガの塔と、その北面になんとも無機質なラテライトの塔とが対照的に並んであると言うこと自体は、昔はそれなりの有力者が統治していた地域ということになるのではないだろうか。
今回はまったく資料ナシでのご紹介となったのでイマイチだったが、こうやってカンボジアのあちこちに
地元の人たち以外知られていない寺院が残っていることを考えるとまた行こうという妄想がとめどなくわいてきてしやわせなキ分になれるものである。
がやはり次回は悲惨な内戦の責任者たちのことについて、触れようと思います。もちろん遺跡がメインでありますが。
てか月一位になってサボりすぎなのでもう少しガンヴァリます。
まず人は来ないがw
