カンボジアの歴史探訪 2

つかいにくいのでFC2にて活動しますわ。

Prasat Phnom Gnon nau 105 Thmei, Kratie その3

さて今回で大体終わると思いますが引き続きこの遺跡について見て回りましょう。

とはいっても私のグラグラ動画-ブレを修正しろとようつべがうるさいのですが修正後のほうがかえって気持ち悪くなりやめといたのですが-これにあらかた写っております。
即ち、主祠堂のみの寺院ですが北側に台座と石の囲みが放置されております。

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盗掘して放置されただけのようにも見えますが、位置が主祠堂の真北でそれなりに東西に向いているようにも見えます。
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そしてこの遺跡の前に見ました、この遺跡の南のToul Pok Lokと同じように、建造物の基壇をもたない石の台座のみの配置、という共通点を持っております。そしてその部分だけ若干くぼんでいるというのも共通項です。


単に盗掘団に攪乱されているだけではないと思われます。

そして若干気になるのが
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台座の東側にある倒れかけた石材です。これがここに立っていたとするといろいろなことが連想されます。
例えばもしかしたらこういう石材の壁で囲まれた、asram 庵室のような構造、即ち、Hanchey,Sambor Prei Kuk のAsram maha Rusei,そしてPreah Vihear州のPrasat Trapeang Kukの類例だったかもしれません。

これだけではなんとも判じがたいですが可能性として触れておきましょう。そうなると近隣の遺跡よりさらに古くなりそうですが。
ただ北側によく見るとまぐさ石と思しき粗い石材も落ちていましたので何かしらの建造物があった可能性は
あると言えましょう。さっきから写ってますが手前の岩です。
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さらにこの台座の東側にも壁ないし床、天井部とすれば無理がありそうですが、石材が落ちております。
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主祠堂の石材かもしれませんがただの盗掘団による石材放置か何かあったのかは発掘で分かるかもしれません。

それ以外は目立ったトピックはありませんが、この遺跡も昨年長々とご紹介した
Prasat Lobok Srot(Lobeuk Srot)同様の、低い石垣に四周を囲まれていることは再度確認しておきましょう。
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今見てきた台座からさらに北周壁外に出てみております。ここだけ出入り口のように低くなってましたが北斜面に石段らしきものは確認できませんでした。やはり東参道の石段だけと考えたほうがいいかもしれません。

以上をまとめると
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大体このような概観になると思います。

この寺院は山上の寺院ということで山岳型寺院としてもまあまあ古い方であろうこと。
近隣の遺跡との共通点がいくつかあること。それは
①Prasat Lobok Srotのような、低い、防禦的には意味がない石垣に囲まれていること。
②Tuol Pok Lokのような、台座のみで建造物の痕跡がちょっと見ただけではなさそうな、そういう
遺構を持っていること。
②’もしかしたらあるいは台座などなかったもののPrasat Preah Theat Khvan Pir北東で見つけた石の囲いも同じような意図なのかもしれないこと。



これらだけでもこれらの遺跡に関連を窺わせること。少なくとも遺跡自体の時代が推定されプレアンコール期の8世紀あたりであろうこと。

③そして時を経てクメール人にも忘れられて後から定住した少数民族によってそれぞれ女神や精霊の住む聖域と祀られたこと。これは歴史とは一見関係ないようで重要な意味があるかもしれません。

いずれにせよこの地区の遺跡に、上記のような思いつくだけでも微妙な共通項が見当たることから
この地区の遺跡を重要な地域として精査していくことが、今に至るまで散々謎のチェンラ(嗤)と言われているプレアンコール時代に迫る鍵となることは間違いありません。

そしてこの寺院は、わたくしが世界初()発表しておりますが、一応ベトナムの企業も
この山域自体は保護しようかなという意図があるようで少数民族の聖域となってますのでこれからも壊さずそのままにしていてほしいと思います。盗掘はされてましたが。

これでこの地区にあって未だ未知なるプレアンコールから近世までの遺跡、および既知ながら精査されていないPrasat Lobok Srotの未知の寺院付随建造物や池について5か所ほど紹介してきましたが、
面白いことにグーグル先生2014年2月に私が紹介したPrasat Preah Theat (Skou集落の)に同年4月赴いております。
ただし、残念ながら行った方はここをPrasat Lobok Srotと誤認しております。
念のためグーグルに連絡しましたが、まさにこんな位置情報なぞ誰得情報でそのまま放置されるでしょう。何せこの誤認に気づくよそ者は実際にPrasat Lobok Srotとここに行ったことのある方くらいでしょうし。

仕方ないので近日中にLobok Srot寺院の方の情報をグーグルマップに登録しておきたいと思います。

そしてこの地区にもしかしたらあと2,3あると言われる未知の遺跡、もしくはLobok Srot寺院の周囲にある池を4月にでも又見つけに行ってみようと画策しております。こんなにしょっちゅうカンボジアに行ける機会など一生で一度だけでしょうw。
とフラグを残しつつこの項を終わります。